シュラインロード・地獄谷西尾根 (お勧め度★★☆) 北六甲【2-10】

祈りの道であるシュラインロード、恐ろしい響きのある地獄谷。
今日(平成18年7月22日(土))は、この二つの対照的な名のルートをたどってみた。

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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 ここ数週間、休日は雨降りで山歩きは無理だった。久しぶりに雨の上がった土曜日、なんとなく涼しい感じのする裏六甲に出かけてみることにした。
 シュラインロードを登り、地獄谷西尾根を下る計画である。シュラインには有馬口駅から逢山峡を通る通常のルートと、神鉄六甲駅から裏六甲ドライブウェイ沿いに山に入るコースがある。
 いつもは、逢山峡から入っているので、今回は初めて裏六甲ドライブウェイ沿いにシュラインを目指すことにした。
 神鉄六甲駅を北側に出て駅舎を左から巻いて南に進み線路を越える。ここから地元の集落の中の道を、一路、裏六甲ドライブウェイ目指して進んでいく(11:00)。
山王神社
山王神社
半鐘下の新林三角点  すぐに、右手側に神社が見えてきた。山王神社である(写真上)。
 地元の自治会の説明板によると、この神社の創建年月は不明であるが、従前は大歳神社と称されていたものが、元禄年間(1688〜1703)に山王神社と改称されたものだとされる。1687年の二度にわたる六甲山の山津波により流され、現在の地に移されたのだという。その後、明治と昭和の二度にわたり社殿が焼失している。
 幾多の苦難を乗り越えながら、現在に続いているお社なのである。
 今日の山道の安全を祈念すべく、この神社にお参りしていく(11:05)。
半鐘下の新林三角点
 さらに集落の中を進んで行くと、道の左手側に半鐘のついた火の見櫓が見えてきた。近づいてみるとその足元には三角点が敷設されていた。「新林」の三角点である(写真上、右)。
 三角点を過ぎ、道なりに進んで行くと、やがて裏六甲ドライブウェイに突き当たった。ここで、深く考えず、山の方向に向かってドライブウェイ沿いに進んで行ったつもりであった。
 車道沿いにしばらく進んだが、いっこうに目指す山に近づかない。そればかりか、車道沿いに怪しげなホテルが林立する地帯に入ってしまった。どうも反対方向に進んだようである。しかたないのでそのまま進み、唐櫃台の住宅地から逢山峡に入っていくことにした。
新林三角点
新林三角点
 唐櫃台の住宅地から阪神高速の高架の下をくぐり、東山橋を渡っていつもの逢山峡のルートに合流した。神鉄六甲の駅をスタートしてすでに1時間ほど経っている。相当時間をロスしてしまった。
 (∋_∈)
 このあたりは、昨日までの豪雨で、土砂崩れしている箇所もある。大小の岩と土砂が道に崩れ落ちでいる。慎重に土砂を回避して進んでいく。
 逢山峡の舗装路も湧き出る水の勢いで路面が川の状態である(写真右)。
逢山峡の舗装道
逢山峡の舗装道
猪ノ鼻滝 逢山峡でみつけたトカゲ
猪ノ鼻滝 逢山峡でみつけたトカゲ
シュラインロードへの林道  水量の増した渓流のものすごい水音を右手に聞きながら、だらだら登る道を進んでいく。やがて猪ノ鼻小橋に到着。橋の下をすごい速さで流れ落ちる猪ノ鼻滝をしばし眺める(写真左上)。
 少し進んで、道の傍らの石の上でトカゲ君の甲羅干しに遭遇した。ずっと続いた豪雨に辟易したトカゲ君が、ひさしぶりの晴れ間を利用し、体を乾かしているものと思われる・・・?(写真上)。
 更に進んで、左手側に仏谷への分岐が現れた。ここには何の表示もないので進むべき方向には気をつけたい。次にすぐ、左手に茶園谷方面の道が分岐している。ここには表示がある。シュラインロードへは右側の道を進む。
 この山道は車も通れるような幅広道であるが、雨上がりの今日はしっとりとした静かな山道の風情である(写真左)。
シュラインロードへの林道
突き当たりの大きなダム  少し進んで、右手側に古寺山への登り口が現れる(12:40)。草丈が伸びて進入路がほとんど確認できない状態になっている。
 更に進み、猪ノ鼻橋を渡ったところで道が左右に分かれる。
 左は進入禁止の表示があり、鎖が張ってある。しかし道は整備されて車も入れるような道である。気になったのでその道を少し進んでみた。
 10分ほど進んで大きなダムに突き当たり、そこから先は進めなくなった(写真左)。やむなく引き返す。
 また、無駄な時間を使ってしまった(∋_∈)。
突き当たりの大きなダム
 本来の道に戻り、シュラインロード入口を目指し少しピッチを上げる。
 やがて、左手側にシュラインロードの表示が現れた。
 左折して山道に入っていく(13:15)。
 すぐに鳥居に遭遇(写真右 13:20)。この鳥居を越えると、ドライブウェイを横切ることになる。
シュラインロードの鳥居
シュラインロードの鳥居
シュラインロードの坂道 シュラインロードの階段道
シュラインロードの坂道 シュラインロードの階段道
行者の森の三角点  ドライブウェイを横切ると、道は階段の登りとなる。そして、すぐに、左手側やや奥まった所に野仏が佇んでいるのが確認できる。シュラインロードの石仏は、道を下から登っていくとその存在を確認しやすい。上から下ってくると見つけ難い配置となっているようだ。
 道は概ね九十九折状の登りであり、坂道であったり、階段道であったりする(写真左上、上)。
 ところで、この道沿いには見つけ難いとされる三角点がある。今日はそれを確認するのも目的の一つである。
行者の森の三角点
行者の東四等三角点  三角点名は「行者の東」であるが、場所は行者堂のやや北になる。
 神戸市設置の119番プレート「き15-6」から南に40歩程登ったところの左側(東側)に、よく注意して見ると踏み跡があるのが分かる。
 笹が生い茂り、見つけにくいが、笹の下にはしっかりとしたルートがついている。
 この入口から、北に向かって20m程笹を掻き分けて進むとやや小高い場所に出る。そこに、笹に覆い隠されるようにして、三角点が佇んでいた(写真左 13:50)。
行者の東四等三角点
 三角点を過ぎると左手側に視界が開ける。登り道も頂に達した感じだ。道の傾斜もやや平坦になる。
 そしてすぐに行者堂に到着する(写真右 14:05)。この行者堂には、役小角、前鬼、後鬼、不動明王が祀られているとされる。また、この石の祠は文化元年に造られたとされる。
 行者堂を過ぎると道は平坦となる。行者堂で石仏は終わりかと思ったが、道沿いには、なお、石仏が鎮座している。どうやら、車道に出るまで野仏は並んでおられるようだ。

 シュラインロードに佇む石仏の一覧はこちら!!
行者堂
行者堂
ノースロード分岐  行者堂から少し進んでノースロードとの分岐に出た。ここには、アジサイがまだ咲き残っており、ブルーやピンクの花塊を並べている(写真左)。アジサイの花は、涼しげで心地がいい。
 ここで右折してノースロードに入ると、ダイヤモンドポイントから地獄谷西尾根に進めるが、今日はその前に記念碑台に寄ってみたいと思う。よって、道を直進し、野仏を確認しながら前が辻にまで行ってみる。
ノースロード分岐
 ノースロード分岐から、路傍の野仏を確認しながらゆっくり進み、5分で前が辻に出た(14:35 写真右)。ここは、アイスロードへの入口でもあり、付近の地図を示した案内看板も設置されている。下方から1人のハイカーがアイスロードを上ってこられた。アイスロードも六甲では人気のコースである。
 ここから、縦走路に沿って車道を東に進み記念碑台を目指す。左手に六甲山ホテル、右手に六甲山郵便局を確認しながら、日照りの厳しくなったアスファルト道を15分ほど進み、記念碑台に到着した(14:50)。
アイスロードへの入口
アイスロードへの入口
瀬戸内海国立公園 六甲山記念碑台  記念碑台では、とりあえずベンチに腰をおろし、六甲山ホテルの自販機で調達した冷えた飲料を一気に胃袋に流し込んだ。やっと、一息ついた感じである。
 次に、六甲山自然保護センターで、六甲山の生い立ち、地質、動植物などを、説明パネルで学習する。
 また、ここには、六甲山全体の大きな航空写真も設置してあり、六甲の全体像を把握するにはもってこいの場である。興味のある方は、是非立ち寄られることをお薦めする。
瀬戸内海国立公園 六甲山記念碑台
 記念碑台には、英国人の貿易商A.H.グルーム氏の胸像もある。
 グルーム氏は、六甲山をこよなく愛し、三国池湖畔に別荘を建て、登山道を整備、さらには六甲山に日本最初のゴルフ場を造った人でもある。記念碑台にはグルーム氏の三国池湖畔の別荘の標石である「101」の複製も立てられている。
 また、記念碑台はちょっとした広場であり(写真右)、ここからは、神戸市街、阪神間の町並み、そして大阪湾と眼下に素晴らしい景色を楽しむことができる。
記念碑台
記念碑台
 記念碑台には、その一角に三角点も設置されている。記念碑台四等三角点である。
 三角点を見ると写真を写したくなる当方が、その存在を確認し、地面にへばりつくようにして写真を写し、記録にとどめたのは勿論である。
 しかし、眼前に広がる雄大な景色を写真に収めるため、南方にカメラを向けている他のハイカーにとって、這いつくばって地面にカメラを向けている当方は”変なやつ!”に見られたかもしれないので、早々にここは退散することにした。
記念碑台四等三角点
記念碑台四等三角点
ダイヤモンドポイント ダイヤモンドポイントからの景色
ダイヤモンドポイント ダイヤモンドポイントからの景色
地獄谷東尾根  縦走路に戻り(15:05)、車道を西へ進み、六甲山YMCAを過ぎて、丁字が辻の手前を右に入る(15:25)。この道は、左右に別荘が立ち並ぶ道であるが、ダイヤモンドポイントへと続いている。
 やがて、右手に、ノースロードへと続く道への分岐点が現れた(15:30)。ここ数日の雨で、この入口辺りは水溜まりとなっている。
 やや進んで、左手後方から道が合流してきた(15:34)。この道は、三国池の方から来た道であろう。
 やがて、前方がぱっと開け、広場状の場所に出た(15:35)。ここが、ダイヤモンドポイントである。広場の中心にはダイヤモンドポイントを示す標柱が立てられている(写真左上)。また、ここからは、裏六甲の様子が一望できる。山並みの向こうには大池の町並みであろうか、人家が集合しているのが見える(写真上)。
地獄谷東尾根
 地獄谷西尾根へは、ダイヤモンドポイントの広場の北西端あたりから山道が下っている。
 ところで、なぜここを地獄谷とよぶのだろう。一般的には谷の景観から付けられたと思われるが、下り始めてすぐ前方に確認できる地獄谷東尾根の荒々しい様子(写真上)からそう名づけられたのであろう。自分の考えに納得しながら尾根道を下っていく。
 六甲山系で地獄という名前を持つ谷は鍋蓋山の北側の谷、芦屋ロックガーデン、大月地獄谷と、この地獄谷があるようで、一般的には大月地獄谷とこの地獄谷が良く知られているとされる。両者は表六甲と裏六甲にあるため、大月地獄谷を表地獄谷、ここの地獄谷は裏地獄谷と呼ばれることが多いとのこと。
水晶山頂上
水晶山頂上
地獄谷西尾根からの景色  ダイヤモンドポイントから、すべり易い山土と岩の道を5分ほど下ると左に分岐する道が現れる(15:40)。この道は石楠花谷へ下っていくのであろうか。
 石楠花谷への分岐を過ぎ、尾根道が登りとなって、それを上りきった辺りで右手側に眺望が広がる。ここから、地獄谷東尾根の様子が良く見える。そして、すぐに水晶山頂上に到着である(写真上 15:45)。
 水晶山頂上は木立の中の薄暗い場所であり眺望は全く利かない。
地獄谷西尾根からの景色
 水晶山頂上を過ぎ5分ほど進むと道が左右に分岐する。ここは右に進んでみた。こちらのルートは、木々の切れ間から、地獄谷東尾根のようすが綺麗に望める箇所がある。
 地獄谷西尾根のルートは全般に足場の悪い厳しいルートである。岩の露出した段差の激しい箇所もある。慎重に下らないと滑落する。また、ざらついた山土のすべりやすい急傾斜地もある。周りの木々に掴まりながら慎重の歩を進めなければならない。滑りやすい、やせ尾根となった箇所もある。要注意である。しかし、随所で東側に展望が開けた箇所があり、ここで荒々しい東尾根の雄姿と、深い地獄谷の様子を眺めながら下るのもまた楽しい。
地獄谷西尾根から見た東尾根
地獄谷西尾根から見た東尾根
地獄谷西尾根道  ところで、地獄谷西尾根道のほとんどは私有地であり、そこを所有者の好意で通行させてもらっていると聞く。
 よって、ここは、整備されたハイキング道ではないことを理解しておく必要がある。結果として、地獄谷西尾根道にはあまりルートの表示がないと思われる。何箇所か写真左のような表示もあるが、基本的には自分でルートを確認しながら進む必要がある。したがって、ルート探しの不得手なハイカーはこの尾根道には入らないほうがいいかもしれない。
 迷いそうな枝道も存在する。しかし基本的には踏み跡のしっかりしたルートを進めば間違いない。少しでも、踏み跡が薄くなったと感じたら、引き返すことが大事である。
地獄谷西尾根道
 地獄谷西尾根道は、アップダウンを繰り返しながら高度を下げてきた。よってタフな下り道と命名したい。この尾根道を、地獄谷の谷筋に続く道まで下ってきた時には時計はもう16時40分となっていた。さらに少し進むと水量の増えた流れに突き当たった。普段であれば飛び石伝いに軽く渡れるのであるが、今日は、水の流れが飛び石を完全に飲み込んでいる。しかたなく、靴を脱ぎ、ズボンを捲り上げて、裸足で急流を横切り、やっと、神港学園グランド手前の高速道路の高架下まで出てきた。
 ここから、地元の集落の中を通過して、駅までは25分程度の距離である。
 雲の多くなった空を見上げて、雨も近いかもしれないと危惧しながら、神鉄大池駅に到着したのは17:15であった。
 今日は、約6時間の山歩きであった。
神港学園グランド手前
神港学園グランド手前
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