座頭谷 (お勧め度★★☆) 東六甲【4-8】

今回は、東六甲で奇岩、巨岩に囲まれて不思議な景観を持つ
秘境!?座頭谷を歩いてみた。

Route MAP
linelineline
説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 東六甲の谷で奇岩、巨岩の景観が特徴的な座頭谷は是非歩いてみたいと思っていた。今日(平成19年6月2日)は、その座頭谷を目指すことにした。
 阪急宝塚駅から蓬莱峡経由の有馬、山口営業所方面行きのバスに乗り込む。バスは1時間に1本しかないので注意したい。
 宝塚駅から15分ほどで知るべ岩バス停に到着する(10:24)。バス停からはやや西に進むと、洒落たデザインの橋のような堰堤の入口に至る。これは、太多田川と座頭谷の合流点に建造された「蓬莱峡堰堤」で、誰かがHPで万里の長城のようだと形容していた(写真右)。現物を目にしてその表現はぴったり当たっているような気がした。
座頭谷入口
座頭谷入口
堰堤連なる座頭谷  座頭谷へはこの万里の長城を南に進んで行く。この座頭谷は砂防堰堤が何重にも連なっているのが特徴的だ(写真左)。また、右手奥の遠景には蓬莱峡の端っこであろうか、露出した奇岩を眺めることができる。
 その景色を見やりながら、谷の左側に続く道を上流に進む。すぐに砂防工事と堰堤に関する大きな看板が目に入る。それには、「太多田川上流部では、明治より大正まで砂防、山腹工事が積極的に実施され、更には、昭和に入ってからも河道侵食を防止するためのダム工等が現在に至るまで営々と施行されてきた。よって、この地域を兵庫県砂防事業発祥の地と呼ぶ」旨、記されていた。ここは砂防工事史に残る場所のようである。
堰堤連なる座頭谷
 座頭谷を遡行するルートは、谷の左側の雑木の中に続いていた。その雑木の中でなにやら珍しい表示を発見した。「鴻応山」との記載がされている(写真右)。このあたりの標高は200mそこそこと思われるが678.9mとも記してある。全く???である。違う場所にあった山名表示がここまで流されてきて、それを誰かが掲げたのであろうか・・・などと、納得できない気持ちを抱きながら上流へと歩を進めていく。(^_^;)
 相変わらず、右手側の谷には砂防堰堤がこれでもかと言わんばかりに連続している。その堰堤のどれもが砂で埋まっているのは、このあたりの地盤が脆くて激しい風化と侵食にさらされてきた事を表しているのであろう。
鴻応山(678.9m)
鴻応山(678.9m)
座頭谷表示  雑木の中の小道はしっかりとした踏み跡となっているし、赤、黄、白などのテープ表示も続いているので、これに従って進んでいく。枝道もあるが、概ね一番太いルートを進めばいいように思われた。
 やがて道がYの字に分岐する箇所に至った。ここには「座頭谷」の表示があり、分岐を右に進むよう示している(写真左)。
 この辺りも砂防堰堤が連続している(写真下)。なお、先程あった堰堤の説明板によれば、砂防ダムの中には、鎧積堰堤と呼ばれる昭和初期の代表的なダムもあるとのこと。その石積工法は表面に鎧のようなふくらみを作り、落水が直接目地に当たらないように工夫されているのだという。
座頭谷表示
 写真右の4段に重なる堰堤の中で、下から2つ目の堰堤が鎧のようなふくらみを見せているように思うのだが、それが鎧積堰堤なのであろうか・・・ いやいや、下から3つ目の堰堤の方が鎧っぽいかもしれない??・・(^_^;)
 4段堰堤の最後の堰堤(座頭谷堰堤)は大変大きな堰堤であった。それを左から巻くようにして登る。最後はコンクリートの階段が造られている。これを上って堰堤の上に立つと、景色が一転した。
座頭谷の鎧積堰堤
座頭谷の鎧積堰堤
ガレ場の続く座頭谷1 ガレ場の続く座頭谷2
ガレ場の続く座頭谷1 ガレ場の続く座頭谷2
座頭谷の上流部  大きな堰堤の内側は、大小の石ころと砂で埋めつくされた荒涼たる広がりとなっていた。そして、その川原の右手奥は、山が崩落したのであろうか、ほとんど垂直に切り立つ大きな土の斜面がむき出しになって突っ立っていた(写真左上)。ものすごい景色である。
 さらに上流に進むと、こんどは崩壊の進む岩壁がまるで石柱(ピラーロック)が屏風のような風采で並び立っていた(写真上)。後方にある緑の山塊とは全く対照的だ。
 その石ころで埋め尽くされた川原の中の流れをさらに遡ってみた。谷幅はどんどん狭まり、積み重なる石ころの色が褐色がかってきた(写真左)。
座頭谷の上流部
 そして谷筋の道はどんどん急傾斜になり、最後は滝にぶち当たって前に進めなくなった(写真右、中央の滝)。
 滝を構成する岩石は、流れ落ちる水で濡れているからか、含む金属が酸化しているからか、全体に褐色がかっている。その色合いからも、この滝には近づき難い感じがしたが、どこか登れる箇所があるだろうと近くを探索してみた。しかし、この滝は無装備のハイカーを全く寄せ付けない風貌なのだ。
 アタックをあきらめてすこし引き返すと右手側に道が続いていた。無理をせず、その道に従うことにする。
座頭谷上流の滝
座頭谷上流の滝
振り返って見た座頭谷  右手側に進むと、堰堤を越えて一つ西側の谷筋に入ることになった。この堰堤の内側も大小の石ころと砂で埋め尽くされている(写真左)。
 この辺りで遡行してきた座頭谷の様子を振り返ろうと、傍らの岩壁斜面を少し登ってみた。しかし、風化の進んだ岩肌は無数のクラックが走り、ボロボロと崩れ落ちるのみで中々登れない。まだらに生えた木々をつかんで何とかよじ登る。そして後方を振り返ると、北方に、今、遡行してきた座頭谷の荒々しい姿を確認することが出来た(写真左)。
振り返って見た座頭谷
 又、谷筋に戻り、遡行を開始する。
 すぐ、木に結び付けられた案内表示を発見するに至った(写真右)。これには次のように記載してある。
 「右の沢へ。谷の突破口は1ケ所のみ。沢の途中から右の山斜面へ。他は危険!」
 成る程!座頭谷からの脱出口は1ケ所しかないようである。この表示を見て、先程の褐色がかった滝を無理に登らなくてよかったと胸をなでおろした次第である。
 表示に従って、沢の右側に注意しながら進んで行くと、難なく突破口とされる斜面登り口を発見した。その突破口から斜面に取り付く。
座頭谷のルートを示す表示
座頭谷のルートを示す表示
六甲ハニー農場  斜面の登りは思った以上に急であった。地図の等高線を見てもその幅が極端に狭い。谷底から尾根まで一気の登りといった感じだ。
 おまけにこの登りは木々が茂った薄暗い山道で、座頭谷の一風変った景色のように、目を楽しませてくれるものは何も無い。
 急坂で噴出す汗を拭いながら、何とか平坦な尾根道にまで登って来た。斜面登りには約20分を要した。
 登りきったところには六甲ハニー農場があった。ふらふらと立ち寄ると、売店のオバチャンが、汗の噴出す当方を見て、冷えたハチミツジュースを2杯もごちそうしてくれた。有難うございました。
六甲ハニー農場
 ハニー農場で5分ほど休憩した後、そこを出発した(11:54)。棚越新道に出て10m程北に下ると、左手側に2本の鉄棒が立つ場所がある。そこから又、山中に入る。この道は661mのピークを肩越えして六甲全山縦走路に至るルートである。
 樹間の中にしっかりとした道が続いており迷うことはないが、ひたすら薄暗い樹木の間を進むので面白味はない。途中、桧が林立する辺りで、「御成婚記念桧植樹」、「木下し口」と表示された石柱があった(写真右)。こんな山中に、何の石碑なのだろう。その石碑を過ぎると笹の生い茂る道になり、やがて縦走路に合流した(12:29)。
 合流地点は、やや読みにくいが、樹木に「ハニー農」と掘られているのが目印となる。
御成婚記念桧植樹の石碑
御成婚記念桧植樹の石碑
迷い込んだ場所  今日はこの縦走路を東に進み、赤子谷右股を下り、更に左股を登り返したいと思う。
 縦走路に出ると、多くのハイカーとすれ違った。座頭谷で1人のハイカーにも会わなかったのと対照的だ。
 大平山、大谷乗越えを過ぎ、岩原山への分岐点までやってきた。この分岐を少し東に進んだ辺りで、左に下る道を把握した。ちょうど写真左の「大平山を経て六甲最高峰へ」の表示がある箇所だ。踏み跡は薄かったが、赤子谷への降り口と思い込みここに踏み込んだ。
 古いテープ表示は時折現われたが、倒木も多く、あまり歩かれていないことはすぐに分かった。更に10分程下って様子がおかしいと感じ始めた。道は谷に下る気配はなく、どんどん西(座頭谷方向)に進んでいるのだ。
迷い込んだ場所
タニウツギ  完全に道を誤ったようだ。どうも岩原山北側のナガモッコク尾根に迷い込んだ感じだ。やむを得ず、縦走路に引き返すことにした。
 下ってきたルートを忠実に引き返すつもりが、ここでも道を誤ってしまい、縦走路へ出て来たのは岩原山取り付きの「岩原山まで300m」の表示のある所だった。散々である。座頭谷で道に迷った座頭の気持ちが少し分かった気がした。
 ナガモッコク尾根での迷走で、次に赤子谷を目指す気が、完全に失せてしまった。赤子谷は次回の機会に譲ることにする。縦走路ではタニウツギの奇麗な花を見つけ、落ち込んだ気持ちがやや救われた。
タニウツギ
 塩尾寺を目指し、縦走路を東に進む。
 10分程進んで、道の右手に「赤子谷右股」の表示を発見した。「なんだ、ここだったのか。」と思ったが後の祭りである。
 更に東に進む。こんどは道の右側に「譲葉山」の表示を見つけた(写真右)。これは従前から何度も探索していたが、見つけられなかった場所だ。西に向かって表示があるので、東から登って来た場合は見つけ難い感じだ。
 1分程進むと山頂の表示(526m)があった。譲葉山頂上は木立の中で眺望はない(14:17)。
譲葉山入口
譲葉山入口
岩倉山から甲山方面を望む  譲葉山(526m)から縦走路に戻ってきた。宝塚を目指して東に下っていくことにする。すぐ、右手側(南)に譲葉台へと下る分岐点が現れた。ここでは左手側(北)にも道が下っている。赤子谷へと続くのであろう。
 少し進んで、南側に展望に適した箇所が現れた。眼前の甲山が綺麗に望める(写真左)。縦走路に戻る。次に左手側に高圧鉄塔が現れた。ここにも赤子谷(左股)への下りを示す表示がある。更に進み、塩尾寺には14時56分着。ここから味気ないアスファルトの道をひたすら下り、阪急宝塚の駅に到着したのは15時25分であった。
 次の機会は、しっかりと下調べを行い、赤子谷を目指したい。
岩倉山から甲山方面を望む
このページTOPへ

HOME 1表六甲 2北六甲 3西六甲 4東六甲 5鵯越周辺 6丹生山系 7関西の山
 
linelineline