鏑射山・百丈岩 (お勧め度★★☆) 関西の山【7-9】

そそりたつ巨岩・百丈岩と、朱塗りの塔を擁する名刹・鏑射寺を訪ねてみた。
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 神戸市北区のハイキングガイドに「美しい湖と名刹を訪ねる」という表題で「千苅水源池・鏑射寺コース」の紹介がある。今日(平成22年12月5日)は、このコースに百丈岩を絡めて歩いてみようと思う。
 予定するルートは、神鉄二郎駅、平田配水場、百丈岩、静ケ池、JR道場、千苅水源池、光明寺、鏑射山(鏑射寺)、JR道場駅である。
 神鉄二郎駅には午前10時に到着。ここから有野町二郎の集落を抜け、有馬川を渡って平田配水場を目指す。
太陽と緑の道(道標)
太陽と緑の道(道標)
平田配水場への坂道  神鉄二郎駅から県道に出て南に進む。ローソンの手前で、左に折れて丘を越える。
 次に国道176号を渡り、すぐ落合橋で有馬川を渡る(10:22)。この辺りから、道端に近畿自然歩道山陽路ルートの道標が現れる(写真上)。
 この近畿自然歩道は「景勝の地、百丈岩を望む道」で、神鉄二郎駅から百丈岩を経て、JR道場へ続くルートだ。
 落合橋を渡り、標識に従い進むと、すぐに平田配水場へ続く長い坂道となる(写真左)。斜度のある長い坂で、ここで少し汗が噴出す。
平田配水場への坂道
 坂を登りきるとT字路で、左は神戸セミナーハウス、右手側が平田配水場(池)である。
 平田配水場からは鎌倉峡へのハイキングコースもある。
 この平田配水場の近くには東山1三等三角点の設置がある。まず、この三角点を探索してみる。
 大きなタンクの後ろ側のピークが三角点の場所のようだが、取り付きが??である。施設右側に石垣があり、これに登ってフェンス沿いに進んでみた。すると、途中から明瞭な踏み跡が現れ、その先に東山1三角点が設置してあった。
平田配水場
平田配水場
東山1三等三角点 笹に埋もれる東山1三角点
東山1三等三角点 笹に埋もれる東山1三角点
 東山1三角点は笹に埋もれかけていた(写真上)が、ふと見ると三角点の奥に野仏が祀られていた。掃除がされ、お供えもしてある。古くから地元の方がお参りしているもののようだが、平田配水場のタンクができて、その参道が不明瞭になったようだ。これでは仏様もご立腹かもしれない。
 仏様はご立腹だが、当方は三角点の発見で機嫌をよくして、次の百丈岩に向かうことにする。
 百丈岩へは先程のT字路まで戻り、セミナーハウスの方に進む。
 セミナーハウスからは、後方に、まるで山の中に浮かぶかのような百丈岩が、その異形を見せ始めた。
太陽と緑の道が続く
太陽と緑の道が続く
鏑射山が見えてきた  セミナーハウスから近畿自然歩道(太陽と緑の道)を進む。落ち葉の積もった、雰囲気のいい道は癒しの効果もありそうだ(写真上)。
 水道施設の塔を過ぎ、長い階段を下る(10:59)。
 さらに進むと道が左右に分岐する。ここは右に進むと、また階段が現れる(11:09)。この階段は勾配が急なので二つの手すりがつけられている。しかし、その手すりの間隔が狭くて歩き難い。メタボな者には難儀である。階段を下りきると、のどかな集落に下りつく。ここからは、後ほど目指すこととしている鏑射山が眺望できた(写真左)。
 頂上に鉄塔を戴く鏑射山が、稲の刈り取られた田んぼを静かに見下ろしていた。
鏑射山が見えてきた
 階段から集落に出るとすぐ橋を渡る。船坂川に架かる橋である(写真右)。
 橋を渡って右に折れる。百丈岩へはこの船坂川にそって進んでいく。この一帯ものどかでいい風景である。
 川沿いに続くアスファルト道を進んでいると、前方から子供達のはしゃぎ声が聞こえてきた。百丈河原でデイキャンプを楽しむ家族連れであろう。
船坂川
船坂川
百丈岩に到着  船坂川沿いを歩き始めて10分弱で、百丈岩前の茶屋に到着した(11:28)。売店やまびこ前には数台の車が止められている。今日は百丈河原一帯も、賑やかな感じだ。
 ところで、茶屋前には「登山者のみなさまへ」と表示された注意書きが掲げられていた。新名神高速道路の工事のために、百丈岩からJR道場方面に抜けるハイキング道で、一部通行止めがあるようだ。
 当方も百丈岩からJR道場方面に抜けようと考えていたので少々とまどったが、迂回路が整備されているようで、なんとかなりそうだ。
百丈岩に到着
 百丈岩前の茶屋からは百丈岩の先端が見えている(写真上)。その巨大で特異な様が、ここからでも窺える。その百丈岩を目指して11:38に茶屋前をスタートした。
 百丈岩は山中にそびえる巨岩であり、基部から頂上まで約60m、3面が垂直で絶壁となっている。岩登りの練習場として有名である。
 百丈岩頂上までには、鎖のある急な岩場が三箇所とロープの張られた箇所もあるので注意して登りたい。
 頂上に近づくと、岩場から人声が聞こえてきた。見ると、百丈岩頂上に人が立っている(写真右)。百丈岩の絶壁を登りきった方であろう。
百丈岩が間近に
百丈岩が間近に
 百丈岩の頂上には20分弱で登り付いた。
 頂上では岩登り装備の3人のクライマーが昼食をされていた。聞くと、絶壁を登ってきたのだと言う。
 ここに登ってくる途中で見た、百丈岩の頂上に立っていた方々であった。
 百丈岩の頂上は、二つに分かれていて手前の広い岩場は一般の者でも立てる。しかし、その先端の鋭い槍の先みたいな箇所には、到底進めない。そこは、クライマーにのみ許された、禁断のピークのようである。
百丈岩の頂上に到着
百丈岩の頂上に到着
百丈岩の先端  百丈岩の頂上から4〜5m下の岩壁には兵庫登山会の案内板が設置してある(写真上)。
 それには、「落差60mの岩峰より望むこの景観はあなたの心の財産ですぞ!」と記載してある。
 なるほど、岩を直登してきた訳ではないが、百丈岩の頂上に立った時の達成感は、心の財産になるような気がする。
 なお、写真左では百丈岩の頂上はひどく傾斜していて恐ろしげ写っているが、実際はそうでもない。仁王立ちして、周りの景観を楽しむだけの広さはあるので、ご安心を!
百丈岩の先端
 百丈岩の頂上からは、遠く北摂の山々が望める(写真下)。素晴らしい景色に満足の瞬間だ。
 また、近くを見てみると、百丈岩のすぐ西側のゲレンデでは5名のクライマーが練習をしていた(写真右)。今日は岩登り日和なのか、クライマーが多い。
 時計を見ると12時近くになっていたので、附近で昼食をと思ったが、百丈岩の頂上も、百丈岩の一つ東のピーク(水久野三角点の場所)も、先客がおられた。そこで、もう少々進んだ所にあったスペースで昼食を頬張ることにした。そこからの景観はもう一つであったが、心の財産に浸りながら、おいしく昼食をいただいた。
絶壁に挑むクライマー
絶壁に挑むクライマー
百丈岩からの景色 荒々しい百丈岩
百丈岩からの景色 荒々しい百丈岩
静ケ池  昼食を終え、12:15に百丈岩をスタート。次に静ケ池を目指す。
 10分弱進んで道が分岐した。ここにも新名神高速道路のための通行止めの掲示があった。掲示板の設置がある所はそれぞれ地点名が付されており、この分岐はD地点である。
 ここは案内に従い、静ケ池方面に進む。
 途中、鎌倉峡のやまびこ売店が設置した案内表示があった。その案内には「歩けることはありがたや」の付言が。納得し、歩けることに感謝しながら静ケ池を目指す。
静ケ池
 D地点から10分弱で静ケ池に到着した(写真上)。
 静ケ池は里から離れた山中にあり、その静けさから命名されたのであろうが、今日は子友連れの家族が、水辺で賑やかに森林浴を楽しんでいた。
 家族団らんのお邪魔をしてもいけないので、早々に静ケ池を後にする(12:35)。
 ところで、この辺りのハイキング路は、よく手入れされていて快適である(写真右)。この快適な道が高速道路の工事で寸断されるのは忍びない。工事完了後もこの山道は残して欲しい。
JR道場方面に続く山道
JR道場方面に続く山道
新名神工事のための迂回路  新名神工事のための案内看板に従って進み、Dダッシュ地点を右折して、C地点に至る。
 C地点からB地点への山道は通行禁止で、フェンスで閉鎖してある。
 さらに案内表示の看板に従い、G地点に至る。ここからは迂回のためのルートが造られたようで、それに従い進んで行くと、突然に集落に飛び出した(写真左 13:05)。道場町生野の集落辺りと思われる。
 そこから、田んぼの中の道を進み、生野橋を渡ってJR道場駅には13:15に到着した。
新名神工事のための迂回路
 道場駅からは不動岩を左手前方に見ながら武庫川沿いに進む(写真右)。
 道場駅から25分ほどで、桜の名所「千苅貯水場」の門に到着した。
 この辺りから、前方より歩いてくる多くのハイカーとすれ違うことになった。この山域でこんなに多くのハイカーと出会うのは面妖な気がして、帰ってから調べてみたところ、本日は神鉄ハイキングの「千苅水源地と大岩岳コース」があったようで、大岩岳から下って来てJR道場駅のゴールを目指すハイキング参加者と交錯していたようだ。
武庫川と不動岩
武庫川と不動岩
千苅ダムに到着  千苅貯水場の門から右手側に進み、羽束川沿いの細い道では40から50人のハイカーとすれ違った。押し寄せてくる集団に逆らって進むことはできないので、端っこによって待避していた。ここでだいぶ時間をロスしてしまった。
 何とか千苅ダムの堰堤に到着。千苅貯水池は神戸市民の水を確保するために建設された水道専用のダムで、羽束川と波豆川から水が流れ込んでいる。
 この堰堤の石積みはみごとで、圧倒的な存在感である(写真左、左下)。
千苅ダムに到着
雄大な千苅ダム堰堤 千苅ダム横の階段を上る
雄大な千苅ダム堰堤 千苅ダム横の階段を上る
 大岩岳を目指す場合はこの堰堤の手前を右に渡るが、今日は鏑射山を目指すので、堰堤左側の階段を上る(写真右上)。
 ダムの高さは42.4mであり、これを一気に登る・・・はずであったが、なかなかそうもいかず、数回の休憩を挟んで、何とか登りきった。
 堰堤上部に出ると、湖面が眼前に広がる。堰堤の上には入れないが、なにやら水門の開閉装置のようなものが一列に並んでいる。
 また、堰堤対面のやや高まったところには鳥居が見えている。ダムの安全のための神社であろうか。お参りしようにも、そこへは湖面を渡らないと到達できないようだ。
千苅ダムの横を進む
千苅ダムの横を進む
ゴルフ場横を進む  堰堤上部からは、湖面に突き出た岩場を強引に削って造られたスリルある道を進む(写真上)。ここで滑落すると一環の終わりだ。湖面との境には概ねフェンスが張られている箇所が多いが、ここだけはそれがない。慎重に通りぬける。
 次に、道は湖面から離れ、小石混じりの緩やかな登り道となった。一面に落ち葉が敷き詰められており、滑りやすいので要注意だ。
 小さな堰堤のようなものの手前で、またまた前方から多くのハイカーがやってこられた。こちらは「山を登る会」の千苅水源池一周のハイクということで、20名程度の方とすれ違った(14:06)。
ゴルフ場横を進む
 「山を登る会」の方とお会いした堰堤を渡ると、山道はダムに沿って北上しているらしい。「山を登る会」の方が言うには、結構アップダウンがあって楽しめるとの話である。
 当方は堰堤を渡らず、光明寺を目指して太陽と緑の道の坂を登っていく。坂を登り切ると、武庫ノ台ゴルフ場のフェンスのトンネルとなる(写真上)。この次にトンネルが2つ登場する。2つめのトンネルは、やや長いが照明がなく真っ暗で、足元が見えない。
 トンネルを越えた辺りから山道は下り気味になり、それを一気に下っていると、突然空き地に飛び出した。そこが光明寺であった(14:21)
急なアップダウン
急なアップダウン
展望台からの絶景  光明寺境内の車道を少し進むと、左手側にハイキングコースを示す標識が現れた。「JR道場駅・鏑射寺」と示された方向に進む。すぐ下光明寺橋を渡り、急な坂となる。これを5分程登るとゴルフ場のグリーン脇を進む道となる。ここから、ひたすらゴルフコースの淵をアップダウンしながら道が続いている。
 途中のアップダウンは結構急で、白いロープが垂らしてある箇所が2つあった(写真上)。
 途中、展望の開けたガレ場があった(写真左 15:05)。ここからは武庫川の流れや三田の市街地が見渡せる。もちろん、北摂の山々も望むことが可能だ(写真下)。
展望台からの絶景
 展望の場所を後にして更に進むと、ロープの張られた急な上り階段が登場した。ロープにすがりながら登り切ると車道に出た(15:18)。その車道を少し登ったところが鏑射寺であった。
 鏑射寺は、聖徳太子がその生母の里であるこの山が気に入り、伽藍を建てたことが起源であるという。鏑矢を奉納し、鏑射寺と命名されたとされる。明治6年に廃寺にまで追い込まれたが、昭和40年秋に再建された。
 そのりっぱな寺の建物を見ていると、さすが聖徳太子にまつわるお寺だと感心した。
展望台から望む北摂の山々
展望台から望む北摂の山々
鏑射寺(三重塔)  鏑射山には黒岩三等三角点(ここは小字を「黒岩」という。)がある。これを確認すべく鏑射寺周辺を少し探索したが、発見に至らず。帰ってネットで確認すると、どうやら朱塗りの三重塔の裏から登り道があったらしい。この探索は、又次回とし、時間も遅くなりつつあるので、鏑射山を下ることにした(15:41)。
 鏑射山(鏑射寺)からはアスファルト道が麓まで続いている。この道を下っていくが、武庫ノ台ゴルフ場から帰る車が時折後方からやってくる。ここは十分注意して下りたい。JR道場駅には16:08に到着。静かな無人の駅で、電車の到着を待ったのであった。
鏑射寺(三重塔)
 ●北区のハイキングコース「千苅水源池・鏑射寺コース」は、落石危険地帯が封鎖されコース廃止となっています(2013年9月27日)。千苅水源池の大堰堤の左の階段を上ったところでフェンスが張られ、通行止めとされています。参照:千苅水源池・鏑射寺コース
 ●後日、鏑射山を再訪し、三等三角点黒岩を確認しました(2014年11月22日)。参照:三等三角点黒岩
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