炭ヶ谷・石楠花山・山田道(お勧め度★★☆) 北六甲【2-44】

市営地下鉄谷上駅(8:56)==炭ヶ谷取付(9:08)==双子山分岐(10:10)==烏帽子岩(10:15)==石楠花山(10:25)
==獺池(10:47)==マムシ谷==シェール道出会(11:11)==シェール槍(11:45)==穂高湖(12:00)==徳川道
==森林植物園(13:00)==山田道==谷上駅(14:43) (約5.5時間 令和3年10月2日) 
ROUTE MAP
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説明が青色文字の写真はクリックで拡大します。
 裏六甲の谷上駅(神戸市営地下鉄・神戸電鉄)を起点として六甲に入る道に山田道と炭ヶ谷道がある。山田道は神戸森林植物園に通じ、炭ヶ谷道は石楠花山への登山路になる。古くは、いずれもよく歩かれていた道だが、今はハイカーも少ない。今日(令和3年10月2日)は、古道の現状確認を兼ねて、久しぶりに山田道と炭ヶ谷道を歩いてみた。
谷上駅から出発 炭ヶ谷への案内表示
谷上駅から出発 炭ヶ谷への案内表示
 新型コロナの第5波も現在収束にむかい、緊急事態宣言もやっと解除となった。自粛で久しく山から遠ざかっていたが、そろそろ手探りながら山歩きの復活としたい。裏六甲なら人も少なく、密になることもないと考え、炭ヶ谷と山田道を歩いてみることにした。今日のルートは、交通至便の谷上駅が起点と終点になる。途中、石楠花山、烏帽子岩、シェール槍、穂高湖、神戸森林植物園などにも立ち寄る予定だ。谷上駅の改札を出て、東に向かう(8:56)。ルート上には炭ヶ谷への案内表示もあり、わかりやすい。 

   
炭ヶ谷の取付階段 炭ヶ谷道標
炭ヶ谷の取付階段 炭ヶ谷道標
 神戸電鉄の線路の下をくぐって進み、谷上南町の住宅地に入る。ここは新しく宅地開発された町で、碁盤の目のように宅地が並び、その中を主要道が一本通っている。その道を東に向かい突き当りまで進む。有料老人ホームの建物が見えてくると、その先の階段が炭ヶ谷への取り付きとなる(9:08)。階段を上って、左に少し切り返したように進むと、炭ヶ谷の山道が始まる。すぐに、道標も登場する(写真上)。 

  
高速高架下を通過  六甲の北側斜面の炭ヶ谷は薄暗い感じの雑木道で始まる。日が差し込まず、薄闇に包まれるが、それはそれで裏六甲らしい。
 よく踏まれた山道を10分弱進んでいくと、突然に高速道路(阪神高速北神戸線)の高架の前に飛び出す(写真左 9:19)。ここで舗装路を横切って、高速の下をくぐって進む。
高速高架下を通過
炭ヶ谷砂防ダム  高速道路を過ぎると左手側に小さな流れが見えてきて、その先ですぐ堰堤となる。巻道を登っていくと、炭ヶ谷砂防ダムの古い表示がある(写真左 9:23)。このダムは副堰堤と本堰堤が並んでいる。
 その先、さらに上っていくと炭ヶ谷第二砂防ダムの横を通過する(9:30)。炭ヶ谷第二砂防ダムも副堰堤と本堰堤が並ぶ。
炭ヶ谷砂防ダム
 砂防ダムを過ぎ、日陰で薄暗い道を登っていくと、左下が切れ落ちた急な道になる。下には細い流れが見えている。やがて、その流れと合流して右岸歩きとなるが、この辺りも急な登りが続く。次に急登道はつづらに切り返す道になって高度を上げていく。その少し先で、左手側に古い炭焼窯の跡を発見。その少し上部にも、もう一つ炭焼窯が残っていた(写真右 9:47)。これが炭ヶ谷道の名の由来だろう。 炭焼窯跡
炭焼窯跡
炭ヶ谷を登る V字谷になる
炭ヶ谷を登る V字谷になる
 炭焼窯の跡を過ぎても急な登りが続く。炭ヶ谷は一本道で迷うこともないが、随所に道標がが設置されている。その先で少し傾斜が緩むと、山道が流れに合流する。ここでV字谷のようなガレた道になる(9:59)。ここは、湿った足元で靴を汚さないように注意して進む。

  
苔むす階段道 双子山、石楠花山分岐
苔むす階段道 双子山、石楠花山分岐
 V字谷のガレた道を過ぎると、炭ヶ谷道も終わりに近い。次に、苔むす階段道になり(10:05)、その先、木道を登る。その木道を登り切った少し先が炭ヶ谷道の終点で、コアラの山火事防止の看板がある。道標もあって、ここが双子山、まむし谷、石楠花山分岐となることを示している。(写真上 10:10)。 

  
炭ヶ谷を登り詰める 烏帽子岩
烏帽子岩、石楠花山分岐 烏帽子岩
 コアラの山火事防止の分岐から、烏帽子岩の方に進む。緩やかな坂道を登っていくと、笹の茂る中で分岐点となった。この分岐は、右に進めば烏帽子岩、左に進めば石楠花山に通じている。笹の中に立つ木に白いビニールテープが巻かれているのが目印となる。ここから、まず、烏帽子岩に向かう。すぐに烏帽子岩に到着(写真上 10:15)。烏帽子岩は岩の形が奇異だが、展望等の見どころはない。なお、烏帽子岩から下方に踏み跡が下っているがこれはバリルート(三ッ下谷道)で、一般のハイカーの歩行には適さない。参考 

  
石楠花山  烏帽子岩からは次に石楠花山に向かう。笹の茂る道を戻り、白いビニールテープが巻かれた分岐を右(南)に進む。笹の中の緩やかな尾根道を10分弱進んで三角点のある石楠花山に到着(写真左 10:25)。石楠花山山頂はピーク感はなく、三角点がなければ山頂とは気づかないで通り過ぎてしまうだろう。
石楠花山
炭ヶ谷、かわうそ池方面分岐  石楠花山山頂からさらに少し進むと、石楠花山展望台に向かう道に飛び出す(10:26)。この道を南に進むと展望台だが、今日は展望台はパスして北に進む。幅の広い林道のような道を10分弱進んで炭ヶ谷、かわうそ池方面の分岐点となる。ここは道標と「山火事用心」の赤い吸い殻入れがある(写真左 10:37)。
炭ヶ谷、かわうそ池方面分岐
 赤い吸い殻入れがある分岐からは、道標が「かわうそ池」と示す方向に進む。その道は、すぐに車道に突き当たる(写真右 10:40)。ちょうどカーブミラーが設置されたところで、車両が山道に入り込まないように鎖で閉鎖されている。鎖をまたいで車道に出て右(南)に進む。 車道に突き当たる
車道に突き当たる
西六甲ドライブウェイ かわうそ池方面分岐
西六甲ドライブウェイ かわうそ池方面分岐
 この車道は六甲山上を突き抜ける県道で、西六甲ドライブウェイ(16号明石神戸宝塚線)と呼ばれる。西六甲ドライブウェイは山上ドライブを楽しむ車や二輪が行き交う。車道脇には「運転 気をつけて!!」の看板が立つが、歩行者も車両には十分注意したい。途中、神戸市灘区と北区の区境を越えて車道を5分ほど歩くと道標の立つ分岐点となる(写真右上 10:46)。

  
 分岐点の道標には「シェール道出会」の表示があるが、ここが、かわうそ池、まむし谷方面分岐で、道標の脇に付近のハイキング地図(かわうそ池付近案内図)も設置されている。 この分岐から山道に入ると、左手側に獺池(かわうそ池)の水面が見えてくる。かわうそ池の静まり返った水面はおだやかで、周囲の山や空を映しこんでいた。 かわうそ池
かわうそ池
森林フレッシュ事業  かわうそ池堰堤にも道標が立つ。この道標では「桜谷を経て摩耶山(3.5km)、穂高湖を経て杣谷峠(2.5km)」と案内されている。その道標の示す方向に階段道を下っていく(10:50)。道の左手側からは、かわうそ池から流れ出た水音がにぎやかに聞こえてくる。周囲に笹が茂るこの道は、一般に「マムシ谷」道と呼ばれる。
森林フレッシュ事業
 マムシ谷道はかわうそ池から流れ出た沢沿いに進む。森林フレッシュ事業(神戸市森林整備事務所)の看板(写真上)や、「布引」と書かれた古い道標(写真右)が道脇に立つ。マムシ谷道は歩きやすい道で、周囲の緑の景観が心地よい。 布引と書かれた古い道標
布引と書かれた古い道標
マムシ谷道 マムシ谷道の木橋
マムシ谷道 マムシ谷道の木橋
 流れに沿ってマムシ谷道は緩やかに下っていく。左岸、右岸と忙しく流れを渡るが、これも楽しめる。次に、マムシ谷道は斜面の高いところを巻いて進む道になる。これは砂防堰堤を高巻く道で、堰堤を超えると右岸道、その先で木橋(写真右上 11:05)を渡って左岸道となる。この辺りで、男性2人、女性1人のハイカーとすれ違った。炭ヶ谷か双子山に向かう方なのだろう。

  
シェール道出会 埋もれた道標
シェール道出会 埋もれた道標
 木橋を渡って5分ほど進むとシェール道出会いとなる(11:11)。ここは獺池からの流れと穂高湖からの流れが合流するところで、大雨の際には土砂の集積が激しい。そのことを、砂に深く埋もれた道標が物語っていた。

  
シェール道 シェール道道標
シェール道 シェール道道標
 シェール道出会いからは、シェール道を穂高湖の方に向かって歩いていく。すぐに森林リフレッシュ事業の看板が登場。シェール道は、多様で美しい森を目指して森林整備がなされているようで、歩きやすい道になっている。木橋や飛び石で何度か渡渉しながらシェール道を進む。

  
穂高堰堤のあずまや  やがて、シェール道は広い林道のような道になる。この道は穂高湖から流れ出た川の右岸道で、しばらく進むと穂高堰堤手前のあずまやに至る(写真左 11:34)。ここのあずまやでは、いつも休憩する人が多いが、今日は誰一人ハイカーはなく、静かなあずまやとなっていた。よって、ここで少し休憩を入れ、昼食のおにぎりを頬張ることにした。
穂高湖堰堤のあずまや
 昼食休憩後、穂高堰堤のあずまやからシェール槍に向け出発した。シェール槍は穂高湖の北側にあるピークで、山頂からは穂高湖の水面を見下ろすことができる。 穂高堰堤
穂高堰堤
 穂高堰堤から穂高湖を周遊する山道の階段を登っていくと、頭が青色と赤色に塗られた白杭が立つ場所に至る。白杭には「シェール槍」と書かれた小さな案内表示がある。ここがシェール槍の取り付きで、岩登りの様相の道を慎重に三点確保で登っていくと、白杭から5分でシェール槍のピークに登りついた(11:45)。山頂には先客2人がいたが、当方と入れ替わりで下って行かれた。 シェール槍から望む穂高湖
シェール槍から望む穂高湖
シェール槍山頂 シェール槍から北方を望む
シェール槍山頂 シェール槍から北方を望む
 シェール槍の山頂は360度の展望で、周囲には六甲山牧場や穂高湖が広がる。ここは小さなピークだが、登ってくると達成感がある。シェール槍山頂から穂高湖を見下ろすと、湖面を行き交うカヌーが確認できた。穂高湖は近くにある神戸市立自然の家のカヌー場になっている。カヌーで風を感じる湖上散歩が、市立自然の家にやってくる青少年に大人気らしい。

  
穂高湖のカヌーとシェール槍  シェール槍で展望を楽しんでいると、二人連れのハイカーが山頂にやってきた。ここは狭いピークなので、シェール槍の展望はその方々に引き継いで、シェール槍を下ることとした。急な岩場を、慎重に下って、穂高湖周遊路から穂高湖に向かう。すぐに木製のデッキがある穂高湖に到着した(写真左 12:00)。カヌーが並ぶ湖畔では、複数のハイカーが昼食休憩していた。
 なお、穂高湖の向う正面の三角のピークが先ほど登ったシェール槍!!
穂高湖のカヌーとシェール槍
摩耶山分岐  穂高湖からは徳川道を経て神戸森林植物園に向かうことにする。穂高湖の周遊路を進み、徳川道の方に進む。徳川道への合流地点には周辺地図の大きな看板があり、その地図の下半分に徳川道のいわれが説明してある。参考 西国往還付替道
 大きな看板から徳川道に入って歩きやすい道を進む(12:05)。すぐに三方向への分岐となる(写真左 12:08)。ここで摩耶山への道と穂高湖周遊路が分岐している。徳川道は直進する。
摩耶山分岐
徳川道石積み 徳川道
徳川道石積み 徳川道
 摩耶山への分岐から徳川道を20分ほど進んで、徳川道石積みの案内看板が立っていた(12:25)。参考 徳川道石積み これには徳川道名残の石垣が看板の近くに残っているとの説明があるが、その石垣は時の経過で跡形もなく崩れ去っているようだった。
 その先、シェール道分岐(12:35)、桜谷出会・ヌクト河原(12:39)と過ぎていく。笹の生い茂るヌクト原の徳川道は、いつ歩いても癒される景色。 

  
徳川道石積み 徳川道
黄連谷の分岐 森林植物園東門
 やがて、徳川道は黄蓮谷の分岐に至る(12:48)。黄蓮谷の分岐には、森林リフレッシュ事業の看板が立つ。次に八洲嶺堰堤を越える(12:55)。八洲嶺堰堤からは轟音を立てて水が流れ落ちていた。さらに、生田川沿いに徳川道を進み、ヌケ谷分岐を過ぎた先で、森林植物園の東門までやってきた(13:00)。 

  
長谷池 森林植物園を散策
長谷池 森林植物園を散策
 野鳥の森を過ぎ、その先の料金所で300円を払って植物園に入園した。長谷池を周遊し、園内散策路で初秋の植物園をぶらぶらと歩きまわった。途中、売店でソフトクリームを買い求め、ベンチで休憩するなど、園内で30分ほどの時間を過ごした。そろそろ、山田道から谷上駅に下っていくこととしたい。

  
山田道東側にソーラー  正門から森林植物園を出て(13:43)、県道明石神戸宝塚線を少し西に進む。県道脇に「山田道」の道標の立つところで車道を渡り山田道に入る(13:46)。山田道に入って少し進むと、左手側がパッと開けて新しい住宅地が広がる。ここは、山を切り開いて開発した桜森町の住宅地で、建築中の建物が多く見える。その先では、右手側にメガソーラーの発電パネルが並ぶ(13:59)。このあたりの山田道は山が切り開かれ、従前の面影がすっかりなくなってしまった。
山田道東側にソーラー
山田道 山田道の新しい石橋
山田道 山田道の新しい石橋
 メガソーラーを過ぎると小倉台分岐の道標が道脇に立つ(14:04)。ここはチーズで有名な弓削牧場への近道となる。その先で、山田道は山の中に入り、昔の面影を取り戻す。
 次に、沢沿いの道になって感じの良い山道を下っていくと、また、小倉台分岐の道標が登場する。この分岐を入ると、西丸山三等三角点の丸山に至る。さらに進んで、山田道随一の難所、渡渉ポイントとなる。以前は危なっかしい飛び石渡しだったが、今は渡りやすい石橋が作られていた(写真上 14:23)。

  
阪神高速の高架  その先で木橋で流れをもう一度渡る(14:25)と、右手側に堰堤が見えてくる。これは丸山堰堤で、この堰堤が登場すると山田道も終わりが近い。すぐに、阪神高速の高架が見えてきて(14:33)、高架をくぐって右折すると谷上駅に戻りつく(14:43)。
 本日歩いた炭ヶ谷道は以前のままの雰囲気だったが、山田道は周囲が開発され、昔の面影がなくなりつつあるようだった。
阪神高速の高架
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